ロン・アンダーウッド監督 1989年作品
スティーブン・スピルバーグ監督の「ジョーズ」に対するオマージュともいうべき作品。アメリカの小さな田舎町、パーフェクションで、グラボイズと呼ばれる蛇のようなもぐらのような静物が、地面の下を縦横無尽に駆けめぐり、人を襲う。
広大な土地を舞台としながらも、グラボイズの存在によって、地面に降りることができない、その異常な状況が、この舞台にホラー特有の閉塞感を与えている。
しかし、物語自体はどちらかというとアップテンポでコメディの要素を含みつつ進む。ミリタリーマニアの夫妻VSグラボイズの銃撃戦は、まさに本作品の見所の1つ。
この映画はまさに低予算でありながら、これほど面白い映画が作れるのだということ。怪物の造形や、派手な爆発シーン、或いはぶつかり合う肉体の格闘シーン、映画には簡単に言い表せる、必要な要素、魅力がたくさんあるが、演出とシナリオが組み合わさると、こんなにも面白い映画が作れるのだということ。
今のハリウッドは、とにかく爆発し、とにかく肉体がぶつかり合い、そして最後には恋人同士のロマンティックなシーンが描かれるという、決まり切った、それこそ法則的とさえ言える映画が蔓延している。それはもはや、ハリウッド病と言っても過言ではないほど、業界の中に蔓延している。彼らは一度、立ち止まって、この映画を観て欲しい。本当に面白い映画とは何なのか、それはここに答えがあるのだと。
|
|