1898年10月8日-1987年
ロシアはヨーグルトきのこでも有名なコーカサス生まれ。彼は若干20歳にして頭角を現し、既に舞台監督としてイギリスで活動していた。1923年に渡米を果たし、ブロードウェイに打って出ると、さらにその才能をあますところなく発揮し「戦場よさらば」などでミュージカルの金字塔を打ちたてるに至ります。そう、若くして彼は舞台監督という地位で、大きな名声を得ていたのです。
そんな、どう見ても映画について素人だったはずの彼が1929年、映画界に進出した作品が「喝采」です。
重ねて言いますが、当時の彼は間違いなく映画については素人でした。いや、素人だったはずなのです。にも関わらず、この「喝采」は映画における革命と呼べるようなものでした。
彼はその舞台経験を映画に生かし、躍動的な演出の仕方は観る者を魅了してやみません。
そして彼は1931年、不朽の名作として名高い「ジキル博士とハイド氏」(原題:The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)を公開するに至ります。これはロバート・ルイス・スティーブンソンの同名の小説を映画化したもので、多重人格者物ホラー小説の元祖と言われています。多重人格者の代名詞と言われるこの小説も偉大なら、それにいち早く目を付け、映像作品として完成させたルーベンの所行もまたもあまりに偉大なことであり、まさに必見の一作と言えるでしょう。
1935年、世界初のフルカラー映画「虚栄の市」(原題:Vanity Fair)が公開されます。
原作:ラングドン・ミッチェル(Langdon Mitchell)なにしろ、これが世界初のカラー映画ということです。歴史的価値は計り知れないものがあります…しかし、内容としてはカラーであるということ以外は、平凡極まりない一連のルーベン作品の1つなのが少々残念でもあります。
1940年、まさに世紀の大傑作「怪傑ゾロ」が公開の運びとなります。原作はジョンストン・マッカレー、まさにヒーロー物映画の元祖にして金字塔であり、この胸躍る冒険物語は、これから先に生まれていく映画制作者達に対し、多大な影響を与え、今日に至るまで多数のリメイク作品や派生作品を生み出しています。
最近では2005年度の「レジェンド・オブ・ゾロ」(Legend of Zorro)が公開されゾロ人気は衰えるところを知りませんね。ちなみに日本には「怪傑ゾロリ」といいまして、怪傑ゾロによく似た衣装の妙なキャラクターが活躍する、子供向けアニメーションが存在していますが、これはパロディというものなのでしょうかね…派生作品というのも、さすがにどう考えても呼べない気がします。ちなみに、このキャラクターの顔はまさにキツネそのものでして、他のキャラクターも全て動物を擬人化して描かれています。
「Zorro」という単語は、実はスペイン語でキツネを意味していますので、キャラクター設定としてみると、どうやらゾロと同じく義賊ということになってます。これを観て育った子供たちが、将来本物の怪傑ゾロに興味を持ってくれると嬉しいんですけどね。
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