クエンティン・タランティーノ監督 2003年作品
この映画自体の評価は真っ二つに分かれる。本当の意味で映画を愛する人間ならば、おそらくは唾棄すべき下らない、チープな映画だと斬り捨てる事でしょう。しかし、一方で今時の「オタク」達からすれば、まさに手放しで絶賛できる映画であり、私は恐らく後者なのです(笑)
自他共に認める「オタク」である、クエンティン・タランティーノ監督は、この映画に、自らの愛する日本、良いも悪いも正しいも間違いも含めて、全てをここにたたき込んでいます。
恋人のビルに裏切られ、命までも奪われそうになり、全てを失ったブライド(ユア・サーマン)は瀕死の重傷から蘇ると、一転、復讐の鬼と化し、ビルの組織の幹部達を次々と殺害していく。
この映画の特筆すべき点として、日本の有名アニメプロダクションである、プロダクションIGが制作に参加していることでしょう。ハリウッドから初めて制作依頼を受けたアニメ会社として、IG社は知られる事となりました。
また、日本のやくざ、女子高生、サムライなどがふんだんに織り交ぜられたこの物語は、映画と言うよりは、純粋なエンタテイメントとして、タランティーノが「俺が好きでこれを作ったんだ! どうよ?」と、まるで訴えかけてくるようです。
映画の歴史、その足跡は確かに偉大なる先人達が築いてきたものです。そこには明確な法則やセオリーが存在し、その通りに映画は作られてきました。しかし、時にそれらを打ち破るような破天荒な作品が、業界を進歩させると思います。
映画という意味では、支離滅裂なことこの上ないと私自身も思いますが、純粋にエキサイティングな映像を楽しむ、けれん味溢れる作者の世界に浸る、という意味では、これはまさに素晴らしい作品であり、是非皆様にも一度ご覧頂きたいと思います。
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