ダン・オバノン監督 1985年制作
ゾンビ映画と言えば、もちろん、ジョージ・A・ロメロ監督による「ナイト・オブ・リビングデッド」が元祖である。ゾンビは人の肉を食らう、生きた死体。のそのそと動き、土気色をして腐っていて、言葉は喋らずうめき声だけを出す。と言うのが、これまでのゾンビ映画の常識だった。ところが――バタリアンではゾンビが走るのです。これはビックリ、というか、ゾンビが走るって?! と、つっこみをした人も多いはず(笑)
ダン・オバノン監督の手がけた中では、最高のヒット作でしょう。時ならぬゾンビブームを巻き起こし、脳みそを食べる、或いは喋り、名前の付いたゾンビが登場する。等々、革新的な試みがされており、一説にはホラーではなくコメディ映画だとも言われています。
ゾンビ映画も、一時はありきたりな演出と、いかにしてグロテスクなシーンを見せるか、という事ばかりに終始し、袋小路に入って居ましたが、それを見事に打開した作品と言えるでしょう。
また、オバタリアンなる造語(傍若無人な態度を取る中年女性のこと)を生み出し、おそらくはバタリアンのように活発ですさまじい生命力を、おばさんの中に見出したのでしょう。
その後もゾンビ映画は細々と作られていますが、やはり、バタリアンを越えるヒットが出ていない事から、それがいかに革新性があったかを、今まざまざと感じずには居られません。
オチが少々大味な感があるのは否めませんが、ゾンビ映画、パニック映画としてはまさに一級のエンタテイメントです。ご覧になっていない方は、夜に1人では観られませんようご注意下さい(笑)
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